斜里岳北壁(1547m/道東)

斜里岳に面白い壁があると話には聞いていたが、札幌から遠いために気軽にとはいかず、ましてや冬期となると行くだけでも大変 だが、幸運にも行く機会に恵まれ足跡を残すことができた。それでも良い壁があるのなら、もっと騒がれてもいいはずなんだがと半信半疑であったのだが...................。

斜里在住の友人に車で入れるところまで送ってもらい玉石の沢の左岸尾根を詰め1000mを越えたあたりにCPを作る。CPから見える北壁は圧倒的な迫力で、ここに来る前に思っていた半信半疑な気持ちは吹き飛び、逆に登れるのかいなと思うほどで ある。CPから玉石の沢に降り、そのまま詰める。やがて北壁の入り口とも言えるインゼルに到着する。ここから見上げる北壁は結構な傾斜である。途中に「のど」の様に狭まったところもあるが、私が登った時は足首が埋まる程度の快適な急斜面でザイルを使う事もなかった。 状態によってはザイルを使用することもあるかもしれない。なお、雪崩に対しては安全な場所がないために、降雪後は注意が必要である。

雪壁を登ると壁を横断する高さが10m弱の岩壁帯につきあたる。ここから本格的な登攀の始まりである。一見すると簡単そうなのだが逆層で外傾しているために、実にいやらしい登攀をしいられる。 この岩壁帯を抜け短い雪田を登ると上部壁となる。ルートは正面のバンド状か少し右側の垂直のジェードルが考えられるが後者のルートを取ることにする。 (なお、正面のバンドは北峰岳朋会の小笠原さんが登っている) このルートは斜里在住の友人が秋に途中まで試登し(結局、放棄した)ていてフレンズなどの残置が残っている。 出だしは泥が詰まったクラックでやさしいが、それを過ぎるとスタンスが得られないコーナーが続く。 簡単だと思っていたが、予想以上に難しい。トップを交代するもたいして距離もかせげず、おまけに天候が猛吹雪となってくる。

タイムリミットの12時を過ぎても進展なし。 さらに悪化する天候に戦意喪失で岩壁基部を左岸尾根までトラバースして抜けることにする。 雪崩の心配があるために20m以上の距離を開けてトラバースすること数ピッチ、尾根に抜ける。ちょうど頂上からの急斜面を降りきった所にである。ここからピークまでは30分で到着。 目を開けているのが大変なほど悪化した天候の中、急ぎ尾根を下る。上部は岩稜帯で北壁側がすっぱり切れ落ち、なかなか良い雰囲気である。

北壁は完登できなかったが、玉石の沢右岸尾根、清岳荘側(西側)から延びる尾根などバリエーションルートが幾つか考えられる。 じっくり腰を据えて、流氷に埋まるオホーツク海を眺めながらそれらバリエーションを登のも悪くない。また斜里岳周辺には遠音別岳東壁など登攀対象の可能性のある壁があることを追記しておく。


databaseに戻る