
武利川・十二ノ沢から支湧別岳に登ってみた。
当初はパンケ支湧別川から大滝沢のルートを考えていたが、行った事のある人間に聞くと小滝はまぁまぁあるが
倒木越えが多く、はっきり言って二度と行きたくないとの事。悩んだ末にパンケ支湧別川よりは等高線が混んで
いて滝がありそうな武利川・十二ノ沢から遡行することに決めた。
林道は地形図上の834mから上流まで続いているが、車高の高い車なら834mまで、車高の低い車ならconta680m二股下
の林道が二股になっている地点に置くのが安全である。
ここから834mまで歩いても30,40分しかかからないのでウォーミングアップにはちょうど良い距離だろう。
時々、雨が強く降る中、林道終点を目指しトボトボ歩く。林道脇に咲くトリカブトの紫が鮮やかだ。
地図上の834mまではしっかりした林道が、ここから上は崩壊した林道が上流に続いている。
適当なところで沢に降り、少し歩くとconta875mの二股で、右股に入る。伐採した木の残骸やワイヤーが落ちている
が総じて歩きやすい沢を少し進むと傾斜のない滝に出合う。岩がぬるぬるしていて滑りやすいことを除けば全く問題なし。
この位置で滝があると言うことはconta1200mからの沢が西に屈曲するあたりからは滝が期待できると、わくわくしながら
進む。conta1100m二股までは短い滝状が一つあるだけで、何も無い。
何も無い中、核心部と思われる1200mまで来るが突然、水が消え石が詰まった沢が上流へ続いている。
最初は伏流かと思ったが、結局、ここから上は最後まで水流を見ることは無かった。沢は急傾斜で何もないまま続き、途中より
始まるイラクサ地帯にかなり痛めつけられて、あまりの何も無さに何度も帰ろうと思ったが、この機会を逃すと支湧別岳には
来ることはないだろうから、我慢して歩く。こんな沢なので問題になるところは無いが急傾斜のために後続への落石には
注意が必要である。上部は沢も尾根も急傾斜のために伐採の手が入らなかったのか、ダケカンバや松の巨木が美しい。
沢型は稜線まで続いているが、途中より鹿道を利用し短い笹をこぎ稜線に出る。出たところが鹿によって踏み固められた
登山道のような草地であった。ここからピークまでは刈り分けがあり10分くらいで到着する。
昨年か一昨年のGWに私の所属する山岳会の人間が支湧別岳、ニセイチャロマップ岳に夏道を作ったと言う方に支湧別岳頂上で
あっているが、この刈り分けはパンケシユベツ川側の林道からニセイチャロマップ岳まで続いているのだろうか。
ピークは三角点がポツンとあるだけのこじんまりとしたところである。
山名を記したごみ標識などはなく、好感の持てるピークである。
いつものことだが、ガスと雨のため視界がない。7月に登ったニセイチャロマップ岳を見たかったのだが残念。
行動食を詰め込み秋の風を感じながら、そそくさと下山する。これまた、いつもの事だが下り始めると天候が回復し始め
十二ノ沢対岸の無類岩山が見えてくる。登りでは何も無い沢に散々、文句を言っていたが帰りの林道では山が見えないかと
何度も振り返り、来て良かったと思うのであった。
北大雪の沢について雑感
過去に遡行したニセイカウシュッペ、武利岳周辺や昨年から訪れている北大雪の沢を登ってみて、滝や函と言った沢登りの楽しさ
を求めるのならば北大雪ではニセイカウシュッペ、武利川からの武利岳へ登る各沢以外は多くを期待しない方が良い。
等高線が混んでいても日高の様に必ず滝があることは稀で、ほとんどはただの急な沢で終わってしまう。
逆に言うと平山周辺以外の登山道がない山への登路としては容易ということになる。
しかし、滝や函がなかろうが北大雪の沢には別の楽しみ方、感じ方があると思う。
ほとんどの沢は日帰りできる短さだが、この短さの中に奥深さを感じながら登ることができるのは何よりも嬉しいものである。
また、人が多く入る沢と違い沢中のいたる所に残る忌まわしいデポ旗や踏み跡がないのも嬉しい。北大雪の沢に登られる方は
後の人のためにも痕跡を残さず沢登りをしてくれたらと切に思う。
東大雪、北大雪の沢を語るときに鬱蒼とした原生林の中をとうとうと流れる川と言う表現をされることが過去には多かったが、実際は伐採により原生林のほとんどは失われ
稜線近くにならないと見ることができないのは残念である。
ニセイチャロマップ岳の記録のページに森林組合の対応を書いているが、北大雪(特に層雲峡側)の沢を遡行してみると事故に対する入山規制と
言うよりは、営林署が過去に行ってきた森林伐採の痕跡を見せたくないためではと勘ぐりたくもなる。
武利、武華山を登った方は屏風岳周辺の伐採跡の酷さを目にしていると思うが、屏風岳に登ると武利、武華山周辺の伐採跡の酷さが良くわかる。どこも傷だらけだ。
ニセイチャロマップ川や小函の沢は1300mから1400m辺りまで伐採された木が沢に落ちていたり、林道、作業道跡が存在する。
今回、支湧別岳を登ってみて登路にとった南面の沢は急傾斜のために上部は伐採ができなく原生林が残ったのだと思うが、昔の人間は鬱蒼とした
原生林の中を流れる沢を遡行していたと想像すると、羨ましく思ってしまう。林道や林道跡はアプローチの短縮につながり便利ではあるが、
手付かずの山があるのなら日数が多くかかろうが滝一つなかろうが、原始の森を流れる沢をのんびりと遡行したいと思う。が、残念ながらその願いは何百年後かにならないと叶わないのだろう。
タイトル画像は支湧別岳頂上直下、中画像は上から唯一つの滝、稜線上の鹿道、沢中より望む無類岩山方面、林道から望む支湧別岳方面