西暑寒岳(1413m/増毛山塊)

西尾根から西暑寒岳に登ってみた。
西尾根は暑寒荘から正面に見える尾根で西暑寒岳は標高こそ本峰よりも低いが、増毛側の中では変化のある楽しいルートである。
このルートの難しさは川の徒渉地点をいかに下流で見つける事ができるかで、例年の雪解けのペースなら今時期は徒渉ができない事が多い。
過去十数年の間この尾根を何度か登りに 来ているが四月に入ってから登れたのが今回を入れて二回といかに徒渉するのが難しいかが解ると思う。
地形図では尾根が細く感じるが、ポンショカンベツ川側は切れ落ちているがガンケの沢側はそれほどでもない斜面のために 地形図から感じるほど細くはない。
通常は技術的に難しい所はないが、今年は多雪と天候不順のせいかアイゼン、ピッケルは必須であった。

まだ暗い早朝に暑寒荘に到着するが今時期は人気の山域だけに駐車場には車がびっしりである。
きちんと駐車をすればさらに三台や四台は駐車できるのだが、前夜から入っている人間の車の止め方が悪く駐車をできる場所を 探すのに苦労する。
中には左右の車まで2m程も間を空けている車もいる。山岳会かサークルの集団の様だが自分たちさえ停められれば他の 人間はどうでも良いと言った事はないはずである。
特にこの時期は混雑するのが当たり前の山域なのだがら常識を持ち合わせているのなら考えて停めてほしいものだ。

西尾根には先週も来たのだが、1000m付近で視界5m以下のホワイトアウトのために引き返していいる。(4/18の不定期日記参照)
今年は積雪が多いために例年なら苦労するポンショカンベツ川の徒渉もスノーブリッジが残っていて楽に西尾根末端へ到達する ことができる。川自体は全く増水していなく春はまだまだ先のようだ。
ウォーミングアップもかねて末端から忠実に尾根をたどる事にする。先週はこの尾根上で熊の足跡を見たので時々、声を出しながら進む。
最初のポコを越えると右手奥に中の沢岳が見えてくる。

400mのコルから急登が始まる。conta490mでポンショカンベツ川側に大雪庇が張り出した狭い尾根が100mくらい続き、尾根上を進む事ができずガンケの沢側をトラバースする。
先週はこのトラバースがスキーのエッジがかろうじて引っかかるほど雪が硬くスリップが許されない斜面のために途中からアイゼンでの登りになったが本日は10センチ程 の新雪が積もっているのでだましながらスキーで越える。

615mのポコ直下の斜面が一面カリカリでスキーでは限界のためにアイゼンに履き替える。
615のポコから上から818mのポコまでは傾斜がなくのんびりと進む。対岸の山の神ルートには3パーティーほどが登っている。まるで蟻の集団だ。

898mのポコからまた登りになる。できるだけスキーを使いたかったのでconta1130mまで強引に登るが、ここから1221mのポコの急登がカリカリな斜面で 、ここから頂上までは同じ様な状態だと思いスキーをデポしアイゼン、ピッケルで登ることにする。(結局、この判断は甘かった)

1250mのコルまでは右手に大別刈山、天狗岳、雄冬岳、浜益御殿、浜益岳、左手に本峰、中央稜を見ながら、のんびりと歩きたい所だが新雪が積もっていて 膝までのラッセルになる。コル手前に細い所があり、雪庇を警戒しガンケの沢側の灌木沿いに進むが、腿までのラッセルになり消耗が激しい。
コルからの急登に入れば雪面が硬くなるだろうと思っていたが、一向に硬くならず結局は1410mのポコまで50mほどの所で、やっと硬くなる。
対岸のアリンコ達は頂上を往復し台地からの下りに入っているのが見える。
この時期の重い雪のラッセルはしんどいが、振り返ると一本の線になって続いている自分のトレースが何とも言えず嬉しい。この尾根を独り占めできた事の喜びを感じる。

*このページの一番上のタイトルに使っている画像が1250mコルから望む西暑寒岳から本峰





1410mのポコに登ると、これまで快晴であった空に西から曇がやってきて、視界がなくなってしまった。こちらは突風と地吹雪で雷ではないが、まさに青天の霹靂である。
かなり強い風と地吹雪でピッケルを持つ手が冷たい。頂上までは500m程なのだが悪い事にラッセルが始まる。
長い500mを歩き頂上に達するが、地図上のピークとは別に最高点はもう少し先にあるのだが、この風なので今回はパスする。
地吹雪が酷い中、曇が切れる事を期待し頂上で少し待ってみるが一向に曇が切れる気配がないために下山する。
ピークを後にした時にかろうじてピークの画像を撮れたのが右の一枚である。 腹が減って何か口に入れたいところだが、標高を下げない限りは西尾根では風を避ける事ができる場所はないために下降を急ぐ。
三年前から履いているテレマークブーツは足首の自由度がないために、アイゼンでの急な下りは要注意だ。
特に1410mからの下りは雪がゆるければ尻滑りで下るところだが、今回はポンショカンベツ川側とガンケの沢側にダイビングだけはしないように慎重に歩かなければならない。
登りで苦労したラッセル跡はこの地吹雪ですっかり埋まってしまい、下りもラッセルするおまけまでついてしまう。898mのポコまで来ると風が嘘の様に止み、春の暑寒別山塊にもどる。
後ろを振り返ると本峰から西暑寒岳まで綺麗に見えている。先程の1時間にも及ぶ悪天候は何だったんだろうか。
尾根末端まではシールを付けたまま下り、水分をたっぷり含んだ雪に春を感じつつ登山を終了する。




*追記1
頂上部での一時間にも及ぶ急激な悪天候について、1974年に発行された増毛山岳会の「未踏3号」に面白い報告を見つけた。
天候が一瞬で変わったために、今回の悪天候が西暑寒岳から本峰周辺に限った事なのか増毛山塊全体だったのかは解らないが「未踏3号」によると「暑寒別岳に於ける局地気流は西暑寒別岳から西尾根に北西卓越風が吹き越える時に風陰側(ポンショカンベツ川側だと思う)に発生する低圧部が周囲の大気を吻引して生じるものと、暑寒別岳南西に展開している暑寒別川源流をなす大斜面を収束上昇して来る気流が本峰を迂回する際に本峰と西暑寒別岳の最低コルに集中してくるもの、さらに卓越風が西暑寒別岳の風陰で迂回する現象が相乗作用となって強化されているもののようである」との記述がある。
天候が変わる直前に曇がガンケの沢及び暑寒別川源頭から凄い勢いで斜面から尾根を舐める様に流れたので、ひょっとしたら強烈な局地風だったのかもしれない。

*追記2
ユース閉鎖に伴い暑寒荘の使用に関しての連絡先は「喫茶ポルク」に変更になったとの事。
電話 0164-53-3485



2005/04/24記


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