
5月末まで通行止めの尾白利加ダムから南暑寒荘まで行ってみた。
当初の予定は西尾根から西暑寒別岳-暑寒別-山の神だったのだが、いつもの計画性の無さで急遽、自転車、長靴を積んで
群馬岳を目指すことになった。
ダム駐車場に車を置き、自転車でゲートをくぐり、南暑寒荘までの片道約15キロの山旅が始まる。
林道は地面が出ているところもあれば、雪で埋まっているところもあり、自転車に乗ったり、降りたりを
繰り返す。
森林作業のためか最近、強引に通過したと思われる車のタイヤ跡が途中まである。
また、自転車が走った跡もあり、物好きはいるものである。
林道の陽の当たる斜面にはこんな花やあんな花やそんな花が咲いていて、下手くそカメラマンは写真を
撮るのに忙しい。(花の名前は知りませんので、すいません)
尾白利加川は春の雪解け水で増水し、水の流れていた頃の日高/沙流川のようだ。
カヌーで下ったら面白いだろうなあと思いながら、のんびりと林道を行く。
時々、恵岱岳が見えるが、まだまだ遠い。
二度目の舗装道路を通過すると国領はもうすぐである。
遠くに群馬岳を望む国領橋でしばし休憩をとる。
私の手元に「URYU-NUMA Upper Damp Plain in Hokkaido」と題された1957年に行われた雨竜沼湿原調査報告書がある。
それを読むと、昔は雨竜の町から国領の入り口まで国鉄バスが走っていて、国領部落は戸数11戸と記述がある。
南暑寒荘が存在しなかった当時は国領の小中学校が登山基地として重宝されたとも記述がある。
今は白樺林に残る土地を区画していた跡と国領小中学校の石碑で、かって、ここに村があったことを知るだけ
である。
舗装道路には雪がなく、正面に群馬岳を望みながらダウンヒルを楽しむ。
前方に狐が歩いているが向かい風のためか、こちらに全く気が付いていない。
5メートルほどの距離に近づいた時に、こちらに気がつき慌てて逃げていく。
人も車も通らない時期に突然、人が現れたのだから無理も無い。その慌てぶりが可笑しかったが
少し悪いことをしてしまったかなと思う。
尾白利加川とペンケペタンの二股からは標高が上がるために、自転車は無理だろうと判断し二股手前の橋に
自転車をデポする。
この二股には南暑寒荘まで4キロと4.7キロと表示された二種類の標識がある。
どちらにしても5キロも歩けば南暑寒荘に着くわけだ。少し登ると美しい白樺林が続く。
私がこの路を通ったのは十数年も前のことで記憶を呼び起こしても、こんな綺麗な所を通った記憶がない。
車なら数秒で走り抜けてしまう路も徒歩で歩くと色々な発見があり、楽しいものである。
スノーモービルのエンジン音が尾白利加川の方からする。尾白利加ダムからは入った形跡がないので、吉野の方から入ったので
あろうか。こちら側には来ることが無かったので合わなくて済んだのは幸いである。
正面に見えていた群馬岳をいつしか横に見るようになり、頂上部が尾根に隠れて見えなくなると、今度は正面に円山と恵岱岳の崖が
見えてくる。
計画ではこの辺りでペンケペタンを渡り群馬岳の北のピークから北東に延びる尾根に取り付くはずだったが、
ペンケペタンは濁流と化していて、とても渡れる状態ではない。
渡れそうな場所を探しながら、とりあえず南暑寒荘まで行ってみることにする。
南暑寒荘は雪の中にポツンと立っている。
まるで童話の世界のような風景だ。が、残念な事にここにはスノーモービルの跡が残っている。
しかも、その跡は小屋裏の尾根を登り恵岱岳方面に向かっている。また、小屋の周りの雪の上にはペットボトルや
缶詰の缶が落ちている。誰かがこの冬に捨てたものだ。
この小屋に積雪期に来れるルートは限られているはずである。行政が口先だけでなく真剣に行動をすればスノーモービルを 取り締まる事は簡単なはずである。もしも恵岱岳方面に向かっているトレースが湿原台地に上がっていたなら、積雪期には登山者がほとんど訪れない雨竜沼湿原から緩傾斜の南暑寒岳
一帯はスノーモービル天国になろう。そう考えると、恐ろしいことである。
小屋の入り口のコンクリートの上でのんびりしながら、群馬岳へのアプローチを考える。
夏道沿いに進んでペンケペタンを渡った橋から適当な斜面に取り付けば、二時間もあれば往復可能だと思うが
この場所が気持ち良すぎて離れがたく、今回はここまでとする。尾白利加ダムからここまでは15キロの道のりを
歩かなければいけないが、また来ても良いと思うほど気持ちいの良い歩きだった。
また来ればまた楽しめるのだから、15キロの道のりは苦にならないだろう。
群馬岳であるが、この時期のペンケペタンはスノーブリッジは期待
できないし、増水のために渡渉は困難である。何箇所かは強引に渡渉ができそうな場所もあったが朝は渡れても気温が上がれば増水で渡れなく
なることもあるために、小屋から夏道を進み橋を渡ったところから群馬岳北のピークに上がるか、群馬岳から東に延びる尾根の山腹に林道が認められたので
尾白利加川とペンケペタンの二股から尾白利加川に進んだ林道のどこかから道があるのかもしれない。
普通はピークを踏めないと心残りなのだが、南暑寒荘までの路のりに十分、満足し帰路につく。
結局、登山靴はザックにぶら下げたまま、一度も履くことがなかった。